2019年10月09日

バスの中(その2)

通勤経路のバスで見かける純愛おじいちゃんと、空気読めないおっさんの話の続き。
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ある日、ボクがいつものバスに乗ると、空気読めないおっさんが、純愛おじいちゃんの愛する席に座っていた。
バスの中は、それはもう静かな大興奮(多分)。

誰も何も口にしないけど、みんなチラチラと(新)純愛席見てるの。

(おい!ヤベーよ! ヤベーヤツがヤベー席に座ってるよ! ヤベーおじいちゃん来ちゃうよ!?)
・・と、乗客皆が思っていたに違いない。


それはもう、ゴジラとモスラみたいな。
エイリアンVSプレデターみたいな。
いや、貞子vs伽椰子が一番しっくりくるかな。

バスが、純愛おじいちゃんの乗るバス停に到着すると、み~んなバスの前方の乗り口に注目する。
期待に満ちた目で。

そして乗ってきたよおじいちゃん!

その時、コミュ強オジサンは、誰とも話していなかった。
だってほら、優先席は独立席(一人がけ)だからね。隣に人が居ない。
で、近くによると話しかけられるから、席の周りに立っている人も居なかった。


おじいちゃん、純愛席に行くと、いつも通り手すりにつかまり、コミュ強おじさんを凝視する。
するとコミュ強おじさん、すっと立ち上がって、「どうぞ」と譲った。

これは、純愛おじいちゃんの勝利(?)か?と思いきや、コミュ強おじさん、純愛おじいちゃんに話しかける!

今まで誰もできなかった偉業をいとも簡単に成し遂げるコミュ力モンスター!
そこにシビれる憧れるぅ!

スゴい!
空気読めないコミュ強おじさんスゴい!!

コミュ強おじさん:「暑いね~そんな長袖のシャツ来て暑くない?汗疹できちゃうよ?」
純愛おじいちゃん:「フゴ・・・」

コミュ強おじさん:「汗疹って言えば今日はXX工業なんだけど、作業場に扇風機ねぇんだよ~」
純愛おじいちゃん:「フゴ・・・」

コミュ強おじさん:「大体、ジャッキが錆びてて動かないんだよなぁ。ケチなんだよ。あそこの息子も無理して大学行ってるからそういうことになるんだよ・・」
純愛おじいちゃん:「フゴ・・・」

コミュ強おじさん:「今日もニュース出てたけど、大学出てても犯罪やって新聞に出るようじゃおしまいだよなぁ・・」
純愛おじいちゃん:「フゴ・・・」


スゴい!支離滅裂だったり飛び飛びの話題に冷静に返す純愛おじいちゃんスゴい!
「フゴ」しか言ってないけど!!

コミュ強おじさん:「そういえばあんまり見ない顔だね?おでかけ?」
純愛おじいちゃん:「フゴッ!」


お前純愛おじいちゃん知らなかったのかよ!!

多分、バスに乗っていた乗客ほぼ全員が心の中でツッコんだに違いない。


別に、そんなに面白くないかもしれない。
でも、ボクにはツボだった。

ボクはこみ上げる笑いを必死で押し殺すべく、口を押えた。
が! 鼻は抑えなかった!! 当り前だけど。

ボクの笑うために肺から繰り出された空気は、行き場を失い、ふさがれていない鼻腔に殺到した。
そして、「ぶぼあ!!」というワケのわからない声(というか音)とともに、鼻から大量の鼻水をブチまけたのだった。

ボク、鼻炎で夏でも鼻詰まってるんだよね・・。

不幸中の幸いで、その大惨事でボクのこみ上げる笑いは収まったんだけど、丁度手鼻をかむみたいなことになって、べっちょりとバスの床に鼻水を落としてしまったよ。


そんなわけで、ボクは某バス路線の変人その3にカウントされることになった・・かもしれない。
いや、知らんけど。



いたたまれなくなったボクは今、バス路線を避けて、倍の時間をかけて地下鉄で会社に通っている。


こうして、二台巨頭の戦いは勝利も敗北もなく終わったのだった。
というか、負けたのはボク一人だった気もする。



いや、全部ボクの妄想かもしれないんだけどね。
実は乗客の誰も純愛おじいちゃんなんて気にもしてないし、コミュ強おじさんも、適当に受け流して、気にも留まってないかもしれない。

そういう人って、ときどき居るし。

コミュ障で空気読めなくいボクが勝手な思い込みでそんなバス車内のストーリーを頭の中で作り上げてしまっただけかもしれない。

平穏で、どこにでもあるバス車内。
・・・でも、バスの中で突然鼻水ブチまけた大人って、多分あんまりいないよね。


「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」


深いな、ニーチェ。


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posted by かのぴ~ at 20:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする